ギリシャの哲学者アリストテレス(B.C.384〜B.C.322)は『動物誌』の中で、プロポリスについてこう述べています。
また、古代ローマの将軍にして植物学者でもあったプリニウス(23〜79年)も、自然史に偉大な足跡を残した大百科全集『博物誌』の中で、「傷と内臓にとって、非常に効果的である」とプロポリスを紹介しています。古代ローマでは著名な医学者であるディオスコリデス(100年前後)の『薬物誌』にもプロポリスの記述が見られます。
このようにプロポリスの歴史は古く、古代ギリシャやエジプト、アラビア等、さまざまな場所で傷の手当てやうがいなどに使われてきました。また、南米アンデス山中にインカ民族が建てたインカ帝国でも発熱性の感染症の治療に使われたと伝えられています。
その後もナポレオンの大遠征の際に使用した記録や、ナイチンゲールがクリミア戦争で傷病兵の治療に利用した記録なども残され、何世紀にもわたってプロポリスは人々の健康のために使われてきました。
また、他の用途として、イタリアの著名なバイオリン製作者ストラディバリがバイオリンの共鳴を向上させるためにプロポリスを混ぜたニスを使った話もよく知られています。
日本では1985年10月に名古屋で開催された国際養蜂会議でプロポリスの働きが紹介されたのを契機に研究が急速に進展しました。国際養蜂会議で紹介されたプロポリスの研究や情報は、日本の養蜂関係者ばかりでなく、研究者や一般の人々にも高い関心を呼び、プロポリスブームのきっかけとなりました。
現在では、さまざまな研究機関でプロポリスの機能について研究がおこなわれ、プロポリスの解明が急速に進んでいます。



ミツバチの巣を守るプロポリスには、植物の芽や幹を保護する有用成分が含まれています

プロポリスの語源は、ラテン語のpro(プロ=前、正面)とギリシャ語のpolis(ポリス=都市)に由来します。これはミツバチの巣を都市に見立てて、その前で「敵の侵入を防ぐ城壁」を意味しています。
プロポリスは、その意味のとおり菌に対する強い働きを持っています。ミツバチはこのプロポリスを巣の出入り口や巣枠、巣箱の隙間、巣穴の壁などに塗り付けることによって、雨風や冷気を防ぐだけでなく、外部からの細菌の侵入を防ぎ、巣や自らの体をバクテリアやウイルスから守ります。
プロポリスは、ミツバチの巣の中を清潔に保ち、巣を守る、大切な補強材なのです。かつてはハチヤニと呼ばれていたプロポリスの原料は、さまざまな植物の新芽、樹脂から成り、花粉やミツバチの分泌物である唾液や蜜ろうなども含まれています。樹脂には、本来、植物の芽を保護したり、幹に付いた傷を治したりする作用があり、ミツバチは本能的にこの力を利用しているのです。

天然のハーブが点在する山中の提携養蜂場で採集されるプロポリス(ブラジル:ミナス・ジェライス州) プロポリスの起源植物(野生のハーブ)
天然のハーブが点在する
山中の提携養蜂場で採集されるプロポリス
(ニュージーランド:オーークランド)
プロポリスの起源植物
(野生のハーブ)



フラボノイド、桂皮酸誘導体をはじめ、各種ビタミン類、ミネラルを含んでいます

プロポリスはフラボノイド、桂皮酸誘導体(アルテピリンC、P-クマル酸など)をはじめ、各種ビタミン類、ミネラルなどの有用成分を含んでおり人間の健康維持に役立つことが知られています。
植物に含まれる色素の一種であるフラボノイドは、植物が紫外線から身を守るために不可欠の成分で、細胞膜を構成する脂質の酸化を防ぎ、細胞を守る働きがあります。また菌に対する働きなどもあり、各方面から注目されています。フラボノイドの多くは糖を含んでいますが、プロポリスに含まれるフラボノイドは糖をほとんど含まず、良質であるといわれています。
ニュージーランド産プロポリスには、ヨーロッパ産や中国産で採集されたものにはあまり含まれていないアルテピリンCをはじめとする桂皮酸誘導体が豊富に含まれています。これらの成分には、菌や酸化に対する働きにおいて、フラボノイドにも匹敵するさまざまな生理活性が認められています。
また、精油成分のひとつであるテルペノイドについても、菌に対する働きなどさまざまな生理活性が報告されています。

プロポリスの成分
主成分
●フラボノイド ●有機酸 ●桂皮酸誘導体 (アルテピリンC、p-クマル酸など) ●テルペノイド
●セルロース ●アミノ酸
ミネラル類
健康に不可欠な栄養素
●マグネシウム ●マンガン ●カルシウム ●鉄 ●銅 ●亜鉛
ビタミン
体調を整える栄養素
●プロビタミンA ●ビタミンB1 ●ビタミンB2 ●ビタミンE ●ビタミンP ●ナイアシン ●葉酸

医学博士:Marilu Hirtzel